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今年の夏祭りも美咲と成瀬さんを誘って、4人で出掛けた。
森田部長と美月さんは心音ちゃんがいるので早い時間に散歩がてらに回ると言っていた。
私は浴衣をやめてワンピース。それに合わせるように美咲も浴衣姿ではなかった。
「うっひゃー!毎年そうだけど、すごい人だね!ゆい、疲れたらすぐ言ってよね。…人ごみってだけである意味疲れるけど。」
「ふふ。ありがと。でも、年に一回と思うと人ごみも楽しいよね。花火は絶対見たいし!」
「そうだね!ま、夏の夜を楽しもう!!」
私たちはお互いの目を気にすることなく、それぞれにしっかり手を繋ぎ、宵闇にまぎれていく。
夏祭りの灯りとにぎやかな音楽と、人ごみのざわめき。
たこ焼きを買って、かき氷をつついて、クレープを頬張る。
私は疲れるどころかはしゃいでしまって、部長を心配させた。
そして、定刻どおりに始まる花火。
夜空に開く大きな花は、無数の花びらを散らせては輝く。
火の子を散らす瞬間の大きな音は毎年私の胸に深く響いている。
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