1498人が本棚に入れています
本棚に追加
ドォーーーーン。
大きな音とともに伝わる小さな振動。
「…すごいな。ゆい、お腹に響かないか?」
「ふふ。響きます。でも、赤ちゃんにもきっと聞こえてますね。花火の音。…来年は…このきれいな色を見せてあげられるかな。」
「ああ、きっとな。来年は3人で来よう。」
「はい。来ましょうね。」
消えゆく花火の下での部長との約束。
それは決して消えることのない約束。
「…あ、秀一さん。赤ちゃんが動いてますよ。」
「はは。花火の音にびっくりしたんだな。」
部長が私のお腹をさすって、赤ちゃんの動きに触れようとする。
部長の手のひらからはきっと伝わる。
大丈夫だよ。怖くないよって。
『来年は3人で来ようね。』
私がそう心の中から話しかけると、赤ちゃんは内側から秀一さんの手を元気よく蹴飛ばした。
最初のコメントを投稿しよう!