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「…大丈夫か?」
その言葉をそのまま部長に返したいくらい部長の方が心配だった。
「…大丈夫ですよ。」
そう言いながら部長に寄り添った。
「秀一さんがいてくれる時に始まったから、私もこんなに落ち着いてられると思うんです。…この子は生まれる前から親孝行ですね。」
「…そうだな。」
痛みの感覚は少しずつ、だけど確かに短くなりつつあった。
普段生理痛のほとんどない私には痛みも少しずつ辛くなってきた。
それでも気分を落ち着けようと部長に甘い紅茶をお願いする。
いい香りと甘さが心を和らげる。
二人で長いこと寄り添って、覚悟を決めた。
「秀一さん、そろそろ病院に行くタイミングです。少し早いけどなんか心配だから…病院に連絡して行きましょう。」
「わかった。」
私たちはマンションを出た。
玄関のドアに鍵を掛ける時、頭をよぎる。
今度、私が帰って来る時は…
赤ちゃんと一緒ね。
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