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病院に着いたのは夜中の0時過ぎ。
病院の夜間出入り口から入って、手続きを済ませる。
一度先生の診察を受けてから、そのまま陣痛室に入った。
痛みの波はよせては返し、その痛みに顔が歪んだ。
腹部を痛みが包むと同時に恐怖までが襲ってくるけれど、部長がしっかりと私の手を握っていてくれた。
痛みにもがく私と落ち着かない部長をよそに看護師さんたちは落ち着いていた。
「お母さんが苦しいときは、赤ちゃんも苦しいの。赤ちゃんも生まれてこようとして頑張ってるのよ。」
この言葉だけが頼りだった。
自分が苦しいときは、お腹の中で赤ちゃんも頑張ってる。
そして、部長の言葉。
「ゆい、頑張れ。…こればっかりは代わってやれないから。頼む。頑張れ。」
そう、赤ちゃんを産めるのは私だけ。この痛みに耐えられるのも私だけ。
お腹の痛みなのか、腰なのか、どこが痛いのかもわからなくて、会話もままならなくなった頃、連絡していた両親が駆けつけてくれた。
それと入れ替わるように、秀一さんが看護師さんに促されて分娩室に入る準備に立った。
まもなく、私は秀一さんと一緒に分娩室に移動した。
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