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…私と秀一さんの赤ちゃんは
…女の子だった。
しばらく経って病室に移ると、やっと少しずつ落ち着いてくる。
数時間前まで大きく膨らんでいた自分のお腹が今はペタンコ。
私はそのお腹に布団の上から手を乗せていた。
すると、部長がその上から自分の手を重ねる。
部長の大きくて温かい手。
「…名前、早く決めなきゃな。名無しじゃかわいそうだ。」
「はい。早く呼んであげたいですね。」
「ああ。」
「…ゆい。本当にありがとう。…女だったな。俺はこれからの人生、両手に花だな。ますます楽しみだ。」
「ふふ。いつかは一人の花はお嫁に行っちゃうんですよ。」
「…行かせるか。」
「ふふ。私、将来、秀一さんを娘と一緒に必死になって説得するんですね。」
「…イヤだな。」
…イヤだなって、秀一さん、子供みたい。
子供が出来たら、何十年も先のことまでこんなにも楽しみになっちゃうなんて。
…愛する人が増えるって
こんなにも…
幸せなんだね。
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