失恋は海の味?

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「海が好き……か。 同じですね」 あたしは彼の言葉に共感する。 何か同じ気持ちの人がいて嬉しい。 名前でからかわれてたけど海は嫌いじゃない。 むしろ好き。 「広大に広がる海は色んなものを波ごと持っていってくれそうな気がするんだ」 そう言って彼はそっと海水に触れた。 「そして新しい事を波に乗せて運んでくれる」 あたしも彼の隣で海水に触れる。 まだ少し冷たい海水が何か心地いい。 「やっぱ、俺達気が合いそうだな」 ニッコリと彼は微笑む。 「そうですね」 確かに。 ここまで気持ちがシンクロするなんて中々ないような気もする。 「こういう出会いってありか?」 澄んだ瞳で彼はあたしを見る。 「……ありだと思います」 彼に見つめられて心臓がバクバク言っている。 あれ? あたしふられたばかりなのに何でこんなに気持ちが揺らいでいるんだろう。 恋がしたい病にでもなったかな……。 そんな病気ないか。 「よかった」 安堵の表情を浮かべ彼は目を細めた。 「あたし……。 ふられて自分が被害者みたいになってたのかもしれません。 自分だけ辛いって。 悲劇のヒロインになりたかったのかもしれない」 わわわ……。 何言ってるの、あたし! あったばかりの見ず知らずの男の人にこんな話するなんて……。 もう話した後じゃ後の祭りね……。
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