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「恋してるからだろ?」
真剣な顔であたしの言葉を覆す事を流ちゃんは言う。
「何言ってるの?」
恋してる?
バカ言っちゃあいけませんぜ、おやっさん。
あたし、フラれたばかりだよ?
寝言はネンネしてから言うように!
「いや。
恋するんだよ、俺に」
クイクイッと流ちゃんは自身を指さしている。
「流ちゃん?」
流ちゃんを思わず凝視。
それって……。
あたしの思い違いじゃなかったら告白……だよね?
「初恋の人に再会できた。
こんなハッピーな事そうそうない!」
両手を広げ流ちゃんはオーバーリアクションをする。
「流ちゃん、あたしに惚れてたの?」
改めてあたしは聞いてみる。
そう言う風に聞こえたから……。
「海ちゃんは気付いてなかったっぽいけど、俺ベタ惚れだったんだよ?」
後ろ頭をペチペチと叩きながら照れ臭そうに流ちゃんは言う。
「……一緒だよ」
ポツリとあたしは呟く。
「へ?」
あたしの呟きを聞き逃さないように流ちゃんはあたしに耳を傾ける。
「あたしも流ちゃんの事大好きだったの。
大好きだから守りたかった。
大切にしたかった。
流ちゃんが私立の中学に行くって聞いて涙が止まらなかったんだよ……」
あたしは知らなかったんだ。
流ちゃんが私立の中学に行くって……。
中学も一緒だとばかり思っていたから卒業式の日に流ちゃんからその話を聞いた時はショックだった。
笑顔で『よかったね』って見送ったけど……。
家に帰ったら涙が次から次へと溢れ出て止まらなかったっけなぁ。
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