氷河の星で

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 脱水症状を引き起こさないようにと、備え付けの水を飲み続けていたが体調はよくならない。それどころか、飲んでいる水すらも熱湯のように熱く感じていた。 「おかしい・・・。おかしいぞ」 「ええ・・・。どうして、急に脱水症状なんか・・・。あれ?先輩、少し溶けていませんか?」  ソルは暑さで意識が白濁している中、リチャードを見て言った。始めは気のせいかと思ったが、どうも違うようだ。リチャードの身体が氷のように少し溶けかかっていた。 「そう言う、お前のそうこそ、かだらがどけが・・・」  脱水症状にしてはおかしい。呂律が回らなくなってきていた。ソルはドロドロに溶けかかった指を伸ばして設定温度を下げようとした。ボタンに触れた途端に、指先が水のように溶けた。  やがて、二人の頭は物事を考えられなくなった。ただ、あるがまま。水のように流されていくだけだった。  氷河の星に一人取り残されたマイルズ。彼は寂しそうな顔をして空を見上げていた。 「きっと、彼らも地球には辿り着かないだろう。ここの水は確かに人や植物を不老不死にする効果があった。だが、それは氷点下での環境での話だ。私はそのことを伝えようとしたのに、誰もがここの水に不老不死の効果があると分かると、話など聞かず私を殺して立ち去ってしまう。機内の温度では身体が溶けてしまうというのに・・・。全く、困った人達だ」  マイルズはそう言って、薄い氷の膜が張ったような空をいつまでも眺めているのだった。
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