氷河の星で

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 マイルズは二人に差し出した水道の水を持ち上げた。 「それが、これさ」 「これが」  差し出された水は、やはり、普通の水ではなかった。氷点下でも凍らない水。それが、マイルズの命を繋ぎ止めた。 「この水には人を不老不死にする効果があった」 「不老不死にする効果?」 「私はこれを飲んだおかげで、死ぬことはなくなった。しかも、これは他のモノにも効果がある。さっきのは、この水を与えて育てたモノなんだ」  リチャードとソルは思わず顔を見合わせた。マイルズが言っていることはウソとは思えない。マイルズ自身が水の効果が正しいことを示していた。  極寒でも枯れない草木に、寒さでも平気なマイルズ。それらは不老不死の効果がもたらした結果なのだ。 「あなたの話はウソとは思えない。だが、一つだけ理解できないことがある。これまで、助けは来なかったのか?微弱だが、この船からだ。救難信号が出ているのは」  リチャードは発信を宇宙船の装置に近付けてみた。寒さで機械の調子でも悪いのだろうか救難信号は安定していなかったが、ここが発信源と考えて間違いなさそうだった。 「確かに、何度か救助隊んぼ人は来た。私はこの水のついての調査結果が済んでいないので、水のサンプルだけでを持たせて地球へと帰らせたのだが・・・。その様子では、誰も地球には帰還していないようだな」  マイルズは二人の様子から、この偉大な発見が地球に伝えられていないことを知りガックリと肩を落とした。  二人はマイルズに聞こえないよう小声でこんなことを話し合っている。 「先輩。マイルズ博士が言っていることは本当でしょうか」 「分からない。ただ、この水が身体に何らかの作用をもたらしているのだとしたら。だが、それよりも早く検証する方法はある」 「その方法とは?」  リチャードはソルの質問に答えることなく、ニヤリと笑みを浮かべるとマイルズに向けて光線銃の引き金を引いた。光線銃の先端からは細長い熱線が放たれマイルズの身体を貫いた。
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