氷河の星で

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「先輩!何をやっているのですか!」  不意打ちに対処することができなかったマイルズは胸を撃ち抜かれて、その場に倒れた。  無抵抗の人間に対する銃撃。これは、明らかな規則違反である。 「気にするな。常識で考えてみろ。こんなところで、生きていられる人間などいるはずがない。ここで、マイルズが死んだとしても、本部にはすでに死亡してたと伝えればいい。もし、本当に不老不死ならば」  リチャードはテーブルに置かれたままになっていたコップに注がれた水を素早く筒状のカプセルへと移す。 「変えるまでだ。いいか、ソル。ここには、マイルズなんて人間はいない。いたのは、怪物だ。それだけ、報告すればいい。 「分かりました」  ソルはリチャードの言葉に逆らうことはできなかった。彼の言葉がもっともらしく聞こえたからだ。常識では生きていられない惑星での生存者。これを、怪物と呼び退治したとしても罪に問われることはない。二人は床に倒れたリチャードの様子を伺った。  最初は変化なく倒れているだけのマイルズであったが、三分経った時、変化が起こった。光線銃で撃たれた胸の傷が塞がり初めていた。どうやら、効果は本当のことらしい。  二人はマイルズが息を吹き返す前に逃げ出した。その際、すぐには追ってこられぬよう足に熱線を浴びせてから。ここまで、運んできた装備など必要ない。水の入ったカプセルさえあればいい。  息を吹き返したマイルズ。二人を追いかけようとしたが、足を撃たれたのですぐに立ち上がることはできなかった。 「ま、待て!まだ、話は・・・」  マイルズは声を張り上げ、二人を呼び止めようとしたが間に合わない。二人は吹雪の中に姿を眩ましてしまった。  マイルズを置いてきた二人は、宇宙船まで戻るとハッチを閉め、すぐに宇宙船を飛ばした。マイルズの宇宙船は壊れている。幾ら、不老不死とはいえ宇宙では追ってこられないはずだ。 「やったな・・・」 「ああ・・・」  二人は氷河の星で素晴らしい水を手に入れたことを喜びあった。水の効力はすでに立証した。これを、地球に持って帰れば勲章ものだ。きっと、地球の文明に大きく貢献できるはずだ。
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