私と君と

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「ふはっ……緊張し過ぎ、もっと楽にしなよ」 そ、そうは言われましても……そんなに顔が近いとですね、声すら出ないと言いますか。 「別にキスしようって訳じゃないし、睫毛抜けて目元に付いてんの」 「より恥ずかしいですわぁぁぁ!?」  是非ともその無駄な観察眼はもう少し私の心境に向けて頂きたいものです!まったくもうっ!  思い切り両目の辺りを擦ってみましたが取れたでしょうか……。 「……あぁ、うん。やっぱ飽きなくて良いわ、すっげー不細工」 「それが彼女に対して楽しそうに言う台詞ですかねぇ!?」  失礼極まりなくないですか?めちゃくちゃ笑顔なんですけど。 「うん、色んな顔が見れて俺は楽しいけど?」 「私は全ッ然!楽しくありませんけどねっ!」 「そう?さっき程身構えなくなったけど」 「うがぁぁぁぁぁ!?だからそう無駄に観察しないで下さいっ!」  本当にもう、なんでこんな人を好きになったんだか……。恥ずかしさで死んでしまいそうです。  そんな私を尻目に淡々と読書に戻りやがるものですから、もういっそこいつが死ねば良いのにとすら思います。 「お出掛けなら諦めなよ、俺は決めたから。今日は引きこもる!」 「本当にダメ人間ですね……」 「ふはっ、自分でもそう思うわ」  仕方なく私も床からソファーに移り、何をしたものかなぁ。と思いながら、彼の部屋を見回してみました。  モノトーンが好きなのか、それを基調にしたありきたりな部屋ですが。実は黒に近い焦げ茶色の本棚だったり、真っ白なテーブルが木製だったり。ゴミ箱なんかも筒型の踏んだら蓋が開くタイプの、ちょっとしたインテリアみたいだったり。  よくよく視ると拘りがあるのかなぁ、とか思いました。と言うか、そんな辺りにも目を配れて無かったんですね私。 「ね」 「あ、はい」  部屋をじろじろ見てるのがバレたんでしょうか!?思わず背筋が伸びてしまいました。 「紅茶と珈琲どっち派?」 「あ、えっと……その……どちらかと言うと紅茶ですけど、ジュースとかの方が好きですかね……はい」 「あー、そっか。本好きはその二択だと思ってたよ、俺」  何が楽しくて笑ってるんでしょうかねぇ……子供っぽくて悪いですか畜生っ!
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