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「取り敢えず座りませんか?美味しい、オレンジペコもある訳ですから」
「止めてっ!マジで止めてっ!」
うふふ、なんでしょう。ちょっと可愛いです。
「どうしたんですか?お家デートはお互いの深い所を知れるチャンスなんでしょう?」
「うわぁぁぁ!?ゴメンってば!ほら俺!姉ちゃん居るから馴れて見えるだけで!女の子と付き合うのとか初めてだったんだよ!本当にゴメン!」
ちょっと、意外です。いえ、お姉さんが居た事もそうですけど、初めてだったんだなぁ……と。
「な、何を笑ってますか……」
「いえ、嬉しくって」
すっかり忘れてました、大人っぽくて、ちょっと気取ってて、だけど、すごくすごく優しい人だって。
その優しさを、今この場所では私だけが向けて貰えるんだなぁと思うと。なんだかすごく幸せです。
「あのですね」
「は、はい」
「私達のペースで良いんじゃないかな?と、私も浮かれて理想を押し付けちゃってました」
「……あぁ、うん。そっか……」
「これからも宜しくお願いしますね?」
「こ、こちらこそっ!」
「ふふっ、緊張し過ぎ。ですよ?」
「う、悪かったなぁ!」
悪くありません、寧ろとても幸せです。だって、こんなにも可愛らしく頑張ってくれる彼氏様なんですから。
たまに天然を拗らせるけど、無駄に余計な所ばっかり観察眼が良いけど、面倒臭がりで、調べものも中途半端で、実はツメが甘かったり。そういうダメな所も全部、好きだなぁって思えちゃいます。
少し冷めてしまった紅茶に口を付けて、優しい香りに思わず綻んで。
それから何気無く目に付いた。彼が読んでいた本の背表紙は、少し前に私が勧めたものだったり。
拗ねて視線を合わせてくれない横顔で、睫毛が長い事を知ったり。
きっと、そんな小さい発見とか幸せを積み重ねて、恋愛っていうのは進んで行くのかな?なんて。
ようやく彼が私の方を見て、どちらからともなく照れ笑い。
まったりと、時々拗ねたり不機嫌に、それでも最後に幸せな気持ちになれたので。彼のお家デートには花丸をあげたいと思います。
皆さんもどうでしょう?
ゴールデンウィーク、お出掛けするんじゃなく。お家でまったりと、何か新しい幸せが見付かるかも知れません。
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