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警備員と一緒に男を羽交い締めにするが、その騒ぎと私達が警備を突破していることでどんどんホテルの住民が集まる。誰もが水を手に入れようと必死だ。男は叫んだ。
「長年点検もなく故障してると思った!走れば、感知しないだろうと一か八かで走ったのに...ちくしょう!」
それを聞いた住民たちは迷いなく境界を踏みしめ、水の入った壺を取り合った。
誰もが自分の為にこの水を使おうとしている...
皆が幸せにならなければいけないのに!!
奪い取った水を空へとかける。
キラキラと光を浴びて青空に浮かんだのは...
「虹だ...」
誰かがそう言った。青空に浮かんだ虹をその場にいた全員が見上げる。
「誰か、じゃなくて皆が幸せにならなきゃ...。」
呟いた言葉を周りが反響するように皆が呟く。
一つ、涙を流して見上げた空はすべてを忘れさせるかのように私達を温かく包み込んだ。
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