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「ヒィ……」
強は力が抜けその場に尻もちをついた。
「私が顔を失った理由知りたい?」
ヒタヒタヒタ……
尻もちをついている強に黒いフードの女はゆっくりゆっくりと近づく。
「こ、こっちに来るな!」
完全に腰が抜けてしまった強はズルズルとお尻を引きずりながら後ずさりする。
「アンタ達だけ仲良くするのは許さないよ……。
だって私達は仲良し五人組だもの……。
勝って嬉しいはないちもんめ。
負けてくやしいはないちもんめ。
よくこうやって遊んだじゃない……」
黒いフードの女はしゃがみこみ強の顔を覗き込む。
「……幸菜(ゆきな)?」
様子を見ていた伊月が思い出したように呟く。
ピクリと黒いフードの女の方が動いた。
明らかに反応している。
「な、何言ってるんだ?
幸菜はあの日死んだはずだ……」
伊月の言葉を聞いた強は言う。
そして慌てて口を押さえた。
「そう。
私はあの日死に絶えた。
あの日以来私はこうしてさ迷ってた」
黒いフードの女……『幸菜』はゆっくりと立ち上がった。
「ど、どうして?」
立ち上がった幸菜を見上げ強は尋ねた。
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