あなたの頭が欲しい……。

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「どうしてって? 答えは……。 この子見ればわかるでしょ?」 幸菜は首を失い横たわっている美奈の体を見下ろした。 グリグリグリ…… 何の躊躇もなく幸菜は美奈の体をグリグリと踏みにじる。 「やめろ!」 幸菜の行動に伊月も声を荒げた。 「煩い! 煩い! 煩い!」 カッ!! 伊月の声に反応するかのように幸菜は容赦なく美奈の体を踏みつける。 踏みつけられた美奈の切断部分の首から血が飛び出る。 幸菜の足にその血が付着するが幸菜は気にしていない。 「無様ね。 そのままここにいなさい。 ……あの時の私のようにね」 物言わぬ美奈に幸菜は冷たい言葉を浴びせた。 そして……。 幸菜はゆっくりと口を開いた。 ……―― 私達は『仲良し五人組』だった。 小学校入学以来、意気投合し偶然にもずっと同じクラスで高校も同じだった。 飽きもせず私達はよくつるんでいた。 あの日も……。 五人で遊んだあの夏の日。 そう。 あの夏の日が五人でつるむ最後の日になるとは思わなかったけどね……。 立ち入り禁止の廃ビルに忍び込み、私は屋上から足を滑らせて転落した。 あの夏の日……。 私は『頭』を失った。
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