あなたの頭が欲しい……。

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「違う。 地蔵の頭だ」 冷静に伊月は転げた頭を見た。 「もう! 驚かせないでよね!」 ガッ! ガッ! 声を荒げ美奈は地蔵の頭を何度も踏みつけた。 「やめなさいよ」 地蔵の頭を踏みつける美奈を直子は制止する。 「フン。 いいじゃない。 こんなもの!」 直子を突き飛ばし制止を振り切る。 突き飛ばされた直子はその場に尻もちをついた。 ガシッ! 美奈は地蔵の頭を再度踏みつける。 「野仏かなんかだと思うから粗末にしたら罰が当たるわよ」 ゆっくりと体を起こしながら直子は美奈に声をかける。 「当てるなら当ててみなさいよ!」 グリグリ…… 直子の言葉をあざ笑うかのように美奈は地蔵の頭を踏みにじった。 ギャア! ギャア! ギャア! バサバサバサ!! 突如カラスが騒ぎだし一斉に飛び立った。 「キャー!」 驚いた直子はその場に座り込んだ。 「大丈夫。 カラスだよ」 直子を宥め起こしながら伊月は直子の背中を優しくさする。 「早くここから出ようぜ」 キョロキョロと辺りを見渡し強は怪訝な顔をしている。 「そ、そうね……」 強の言葉に美奈も相槌を打つ。
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