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「俺達以外誰もいないのに……」
美奈と同様に強もきょろきょろと辺りを見渡す。
「……怖い」
直子は伊月にギュッとつかまった。
「大丈夫だ」
怯える直子を伊月はギュッと抱きしめる。
「よくお聞きなさい」
四人の状況を確認し黒いフードの女は静かに口を開き四人を制止させた。
『あの子の頭が欲しい……。
あの子じゃわからん……』
段々と『声』は四人の足元に近づいてくる。
「頭……」
『声』の発した言葉に真っ先に美奈が反応する。
「それって……」
強はゴロリと地面に転げる地蔵の頭に目をやった。
地蔵の顔がニヤリと気味悪く笑う。
「いやぁ……」
笑った地蔵の顔を見て直子は更に強く伊月にしがみつく。
「…………」
無言のまま伊月は様子を伺っている。
『無言のまま』というより恐怖から言葉を失っているようにも思える。
『……頭を返して……』
今までより低い『声』が聞きたくない言葉を言った。
『返して……』
『痛いよ……』
その『声』に反応するかのように違う『声』が次々と聞こえてくる。
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