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まだ、寒さが残る春のこと
高校生は新学期に浮き足立ち、卒業生はそれぞれに自分のやるべきことをこなし始めたこの頃
私はこの、北高校に足を踏み入れた
今年で高校1年生
私、佐々木 麗(ささき うらら)はこの学校の普通科に入学した
「あ、桜…」
見事なまでに咲いている満開の桜
その通りを歩く私と、生徒であろう人達
人見知りである私はそこを歩くのでさえ、もう嫌だと感じていた
目の前には高々とそびえ立つ高校
「はぁ…」
ため息を1つついた時、
「あ、あのぅ…」
誰かに呼ばれた
振り返ると、見知らぬ男の人が立っていた
背が高く、見上げなきゃ顔が見えないような彼を見ると彼は赤くなりながら、
「…ファスナー、あいてる…よ」
…これが、私達の始まりだった
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