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「君の弱い部分は
昔から変わらないな」
艶を含んだ低音が
流しこまれるのは左耳。
ぬるりとしたものが
耳朶を辿り
ぐちゅりと音で
鼓膜を犯す。
もうだめだ。
今日も負けだ。
もっと、
もっとずっと
その先まで……。
そう、私が
温人さんを
求めようとした瞬間
心地よい熱と香りが
去っていった。
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