1、ラストプレゼント

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 リビングに戻り、白いスマートフォンを手に取る。  メールフォルダにも、ラインにも、ネットにも、もう、自分と謙介が関わった証拠はひとつも残っていない。  一吹からは言われたことがないような甘い言葉も、慰めも、一瞬で消えてしまった。  ……これで良かったんだ。  ナツメは小さくため息を吐いた。  ふいに、謙介の顔が脳裏に浮かんだ。  奥二重の瞼にぱっちりした目、大きな鼻に厚い唇。がっしりした体格の、ナツメよりも10歳年上の男。  自分と同い年の一吹とは、ありとあらゆる意味で異なるタイプの男だった。  一吹の骨張った細長い指と、謙介の太く温かい指。  謙介の指で髪を撫でられて、頬に手を添えられて、そのまま乳房に触れられて。
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