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【白雪】の物言いに、ひさなは昨晩同様に面食らっていた。
その顔は意外にも、幼い少年のような可愛らしさがあった。
孤高の狼のような双眸は影を潜め、そこには純真な瞳が煌めいていた。
おそらく、【白雪】と同じ年頃だろう。
「【鉄錆】は俺の獲物だからな」
その言葉は【白雪】の感謝の言葉の弁解だろう。不器用な男のようだ。
「昨晩の【鉄錆】、【赤ずきん】を命懸けで護っていました」
「そういえばそうですね」
【蒼】の言葉に、【白雪】が相槌を打った。
「殿方が女を護るのは義務です。でも、殿方が命を掛けて護るのは──」
【白雪】が何かを見つめるように、言葉を区切った。
「男が女を命懸けで護るのは、その女を愛しているからです」
その【白雪】の表情を、【蒼】は意外そうに見ていた。
「【白雪】を護った鐡さんは、【白雪】を愛している理屈になりますね」
「そうなりますね。ひさなはわたしを愛しているのですか?」
【白雪】の奇天烈な問い掛けに、ひさなは驚いた顔で目を白黒させている。
「なっ!? 飛んだお嬢さんだ。あんたも良くお守りをしているな」
そう言って、ひさなは【蒼】を感心した様子で見た。
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