意地悪な天敵

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そしてリビングのソファーに腰を下ろした生徒会長は、濡れた髪の毛の雫を拭いながら口を開いた。 「茶ぁぐらい出せよ」 「へっ?」 「一応俺、客人」 と言う言葉で、慌てて対面キッチンへ小走りに向かう小心者のあたし。 何かを言いたいはずなのに、頭の中が真っ白で何も浮かんでこない。 でもやっぱりその“理由”を知りたい自分に嘘は吐けなくて、 冷蔵庫のパックのオレンジジュースとグラスを片手に、ボソリと呟く。 「あの……生徒会長さん」 目の前の男の耳に、届いたかは分からない。 けど、 「渉斐」 ちゃんと届いたみたいで、そう返された。
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