意地悪な天敵

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「え?」 「俺の名前。渉斐って言うんだよ。俺、“生徒会長” って呼ばれんの、学校だけでうんざり」 と言った彼は、グラスに注いだオレンジジュースを綺麗に飲み干した。 長い指先が持て余すようにテーブルにグラスを置くと、今度はその指が濡れた前髪を掻き上げる。 ……女の人みたいに細くて長い指に見惚れていると、言葉を続ける生徒会長。 「アンタ、名前は?」 ……あ、 そう言えば、まだちゃんと自己紹介してなかった気がする。 でもあたし……自分の名前、あんまり好きじゃないんだよねぇ……。 あたしがもじもじしていると、生徒会長が痺れを切らしたように口を開く。
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