意地悪な天敵

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「名前、ないのかよ?」 「ありますよー」 「じゃあ何?」 「それは……」 「名無しの権兵衛? それとも、へのへのもへじとか?」 な、な、何よそれー 「違いますっ! 月優、……花柳月優って言いますっっ!!」 こんな事でムキになって、何だか恥ずかしい。 ……誰かの前で、こんなにも自分の名前をはっきりと告げたのは初めてだ。 すると渉斐さんは、さっきみたいにフッと笑みを漏らすと毒を吐いてきた。 「つゆ? 変な名前。麺つゆみてぇ……」 むっかー! きーーーーー! 麺つゆって、何よぉ!! ……そう思ってたら、さっきとは打って変わって真剣な眼差しを作った渉斐さんが、ある言葉を呟いた。
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