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……そう笑われて、赤くした顔。
文句を言ってやろうと口を開けたものの、その先の言葉が見つからない。
「ところで、さっさと風呂に入んねぇーの?」
いつの間にか部屋に入って来た渉斐さんは、そのままあたしの顔を覗き込んできた。
「入りますよー」
……跪いて、至近距離で瞳を絡めてくる強い視線。
まるで金縛りにでも合ったように、引き込まれる。
全く優しさの欠片もないような瞳の奥には、影が潜んでいる気がした。
海の底の、……マンホールみたいなその瞳。
やっぱり、嫌いだ!
パパやママや、桜おじちゃんや朱海とも全く違うその瞳。
……とても怖いのに、逸らす事が出来なかった。
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