意地悪な天敵

32/38
前へ
/38ページ
次へ
「ママ、月優ね……」 「うん」 「好きな人がいるの」 「そうなの?」 ふふふって可愛らしく微笑んだママは、そのキレイな手をあたしの頭部に持ってくる。 そのまま優しく撫でてきた。 「もしかして、ママの知ってる人?」 「うん」 と頷いたけど、とても惨めになって、目線を落とすと唇を噛み締める。 ……何も知らないママは、言葉を続ける。 「もしかして、渉斐クン? それとも朱海クン?」 「ち、違うよっ」 「じゃあ……」 「パパだよッ!!」 のほほんとしたママの言葉に苛々したあたしは、咄嗟に立ち上がる。 「え、パパなの?」 「う、うん!」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

371人が本棚に入れています
本棚に追加