意地悪な天敵

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桜おじちゃんは、リビングのソファーに座ってもうビールを飲み始めている。 「月優、遅いぞ?」 と言われて、苦笑いする。 その隣に、渉斐さんが平然とした顔でこちらを見ていた。 そのまま視線が絡み合うと、思いっきり睨んでくる。 ……やっぱり、“気まずい”。 咄嗟に渉斐さんの視線から逃げる。 そこでママに声をかけられた。 「月優ちゃん、これ運んでくれるかしら?」 ママはそう言って、返事をしていないあたしの手に大きな器を載せた。 ……器には綺麗に盛り付けされたフルーツサラダ。 しかも山盛りだ。 「そう言えばママ、パパは?」 とフルーツサラダをテーブルに置いてきて、ママにそう聞くあたし。 パパの姿が見えないからだ。 さっき、あたしの部屋に来てたのに……。
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