意地悪な天敵

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―――… いつものバスを降りて、いつもの公園の近道を通って いつもの帰り道を元気いっぱいに走って、家に辿り着いた。 玄関の前で少し呼吸を整えると、ドアノブに手をかける。 ……ガチャッ! 「ただいまぁ……」 ――しーん。 「ママぁ?」 …………。 あたしの声を聞くと、必ず玄関までスリッパの音を鳴らせて走り込んでくるママ。 でもこの日は、静かなこの空間が彼女が留守である事を知らせていた。 「ママぁ……留守なの?」 ……そう呟いた瞬間、耳に届いた何かの音。 自然とその方向に足が向かって、歩みを進めた。 ……ザザッ! その音はバスルームの中から聞こえてきた。
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