ソフィア育成所

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 愛犬のめるるがドア引っ掻く音で目を覚ました。 「もぉー……どうせまたすぐ出たいって言うくせにぃー……」 眠い目を擦りつつ私はドアを開け、この可愛らしい客人……否、客犬を招き入れた。  ウエルッシュ・コーギー独特のピンと立った耳に短い足。 尾のないお尻を振りながらヨチヨチと部屋に入ってきためるるは、早速私のベッドに飛び乗った。 『一緒に寝よう』と言わんばかりに、目を細め、一センチ程しかない尻尾を振る姿がたまらない。 鮮やかなブラウンの毛を基調とし、額や鼻周り、お腹と脚だけが白いところがまた色っぽい。 そういや、めるるにはソラリス時代に店長の長時間説教で、私が参ってた時にも世話になったっけ…… この世界一セクシーな犬を抱き枕にし、私は二度寝した。 ――約一時間半後。  もうすぐ飲み会の時間だと言うのに、私は中々出発出来ずにいた。 寝坊したからじゃない。 化粧ができないからだ。  メイクを施している時も、あのやりとりが蘇ってくる。 塗っても塗っても流されてしまうファンデーション。 糊がふやけて剥がれてしまう付け睫。 滲むアイライン。  いつもの倍以上の時間をかけて、それらをなんとか見れる程度に整え、私は車に乗り込んだ。
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