勿体無き

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 ニサンの優しさに甘えて、ソラリスに入社した時に自分には戻りたくなかった。  私は気を引き締め、霧山さんの話の要点を必死に書きとめた。 霧山さんが心を鬼にして言ってくれたうちの至らなさも真摯に受け止めた。 「――で、ここまでで何か質問ある?」  一通り話し終えてから霧山さんが私達に意見を求めた。  皆の反応はと言うと、何を言っていいか分からないと言った表情で、視線を床に這わせていた。 「大人しいなあ、ここの子達は……」 半分は感心、半分は呆れた様子で霧山さんが腕組みをしてソファーに寄りかかる。 「あの、意見でもいいですか?」 こんな機会は滅多にない。 私は挙手をして、前々から気になっていた意見を述べることにした。 言っていいと言ってるんだ。 そこで大人しくする必要などない。
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