看病

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「右肩の方凝ってますねえ。」 「わかるのっ? そう言やオレ昨日、一日中右手でハサミ使ってたわっ!」  肩揉みで気を良くしたのか、那智店長はいつもより饒舌だ。  那智店長のことは好きだし尊敬していたが、こんなに沢山話すのは面接の時以来だ。 ソラリスでの経験が、まさかこうして那智店長と話すきっかけになるなんて、人生わからないものだ。 「勿論、わかりますよっ!」  タイ古式ならではのストレッチも加えながら、私は得意気に返した。 「すげえっ! プロみたいだなっ!」 「プロですよっ! これで普段お金頂いてるんですからっ!」  私が思わず吹き出しながら応えると、那智店長も釣られて笑った。 「わりぃわりぃっ! …………ごめんな? お金、払おうか?」  半分本気で申し訳なさそうにこちらを見上げる那智店長が新鮮だった。 「大丈夫ですよっ! ……さっきの修理代ですっ!」  私が冗談に那智店長も爆笑した。
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