看病

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 前回使わなかった手技も取り入れ、最後は前回同様に仕上げた。 「あぁー! 楽になったわ!」 また敬語で私にお礼を言うと、那智店長は休憩室を出ていった。  こう言う言葉が聞きたいから、私はプライベートでも友人のマッサージをタダで引き受けている。 新しい技を試したいからと言うのもあるが。  まだ暖かい気持ちで私が品出しをしていると、那智店長がやって来た。 「あい、コレ。 お小遣いっ!」 そう言って那智店長は私に百六十円を握らせてくれた。 『これでジュースかお菓子でも買いな』と言うことだろう。  タダでする気満々だっただけに、この思わぬ臨時収入は財布以上に私の心を暖めた。
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