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疼く傷の痛みに堪えかねた私は、悟さんに藍田さんの件を打ち明けた。
「……でも、最近、泣いてる原因がわかったんです。
藍田さんは最後まで私が何処にいくか聞かなかった……。」
途中で声が震えてきたが、私は話すのを止められなかった。
「つまり、もう私じゃなくてもいい。
私より店を……田丸さんをとったってことなんじゃないかって……。
それが、きっと、悔しくて堪らないんで……」
「いや、それはない。」
俯き加減に話していた私だが、悟さんの言葉にハッと顔をあげる。
「それは、ないよ……」
一言一句、ハッキリと句切り、悟さんは繰り返した。
「と、言いますと……?」
その先を聞くのが怖かったが、それ以上に先を知りたかった。
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