看病

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 グラスの中の氷が溶け出すように、何かが私の中で溶け出した。  溶け出した何かが目元に溢れてくるのを、悟さんに気付かれないよう 私は溶けかけた氷水を喉が乾いてもいないのに何度も煽った。  悟さんからかけて貰ったこの言葉は…… 私がずっと欲しかった言葉は、擦りおろしたリンゴのように私の微熱を和らげた。 ――この日から少し、泣く回数が、減った……
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