微熱の終わり

毒か薬か

　いつも遠回りしてでも避けていたソラリス。

この前を通ってしまえば、嫌でも藍田さんのことを思い出してしまうからだ。

　だがこの日はソラリス時代の癖で、ウッカリ店の前を通ってしまったのだ。

ああ畜生……最悪だ……

　せめてソラリスの看板が極力視界に入らないよう努めながら、車を走らせる。

　しかしこういう時はトコトンついていない。
ソラリス付近の信号に捕まってしまった。

　矛盾しているようだが、見たくないもの程気になるもの。
私は無意識の内に、白目で店の看板の方を見ていた。

そして、ある違和感に気付き、思わず顔を看板の方へ向けてしまった。