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再び電気を消して二度寝しようか迷っていた矢先、獣の爪がフローリングの床を打つあの音が聞こえた。
チッチッチッチッチ……
やがてその音は私の部屋のドアの前で止まり、お次は爪でドアを引っ掻く耳障りな演奏が始まった。
私がそれに応答せずにいると、今度は雌の中型犬特有の甲高い鳴き声が廊下に木霊した。
二日前までの私なら何だかんだ言って、この可愛らしい騒音の張本人を招き入れていただろう。
だが、今の私にはドアを開けてあげる気力も、騒音を叱る気力もなかった。
めっちょも暫くは私譲りのしつこさで粘りを見せたものの、やがて、爪が床を打つ音は寂しそうに遠ざかっていった。
私は出勤時間ギリギリまで、このアメーバのような状態を維持し続けた。
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