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私はハルともう一度話をし、通話を切った。
仕事まで、もう少しだけ時間がある。
自分なりにケジメを付けるべく、私は最後のSMSを作り始めた。
『お返事ありがとうございます!営業や美人局と思われたらどうしようかと思いましたよ(笑)。藍田さんもお元気で!』
ソラリスの退職時に渡せなかった手紙のように、私らしい文章だ。
このメッセージだけでも、伝えることが出来てよかった。
送信完了の画面が表示されると、私は藍田さんの番号を電話帳から削除した。
奥さん、大事にしてください……
穏やかであろう笑みを浮かべて画面を見つめていると、暖かいものが頬を濡らした。
すぐに……すぐに行くから……
だから、今だけ……
私は車のハンドルの上に両手をつき、その甲に額を当てて暫く泣いた。
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