得体の知れない恐怖

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 あれから私は、藍田さんのホテル付近での買い物を辞めた。 むしろ、藍田さんのホテルに近付くことさえ避けるようになった。  忘れまいと藍田さんの番号をメモっていた去年のスケジュール帳も捨てた。  ニサンでも、もう藍田さんのカルテを見るのは辞めた。  一刻でも早く、藍田さんのことを忘れたかった。  藍田さんはもうとっくに私がいない道を歩んでいた。 だから、私も早く……  ニサンは相変わらず平和そのもので、藍田さんの件さえなければ私は充実した毎日を過ごしていた。 先程も電話にて一件の予約を取り付けたところだ。 中田さん、か…… まさか、ね……  五分後には到着すると言っていたし、すぐに答え合わせ出来るだろう。
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