得体の知れない恐怖

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 出来ればあまり関わりたくなかったが、その時空いていたのが私しかいなかった為、私は渋々中田さんの受付に応じた。 大丈夫。 源氏名も変えてあるし、私がニサンにいると知っているのは店長だけだ。 それに髪型をガラリと変えたお陰で、秋葉さんや他のソラリス時代のお客様にも気付かれてない。 ここは平静を装ってやりすごそう。 「コースはオイルコースの九十分でお伺いしておりますが、よろしいでしょうか?」 「はい! お願いします! 」 よかった……気付かれてない。 「先程お電話でお伝えしました通り、二十三時以降は深夜料金がかかりまして、そちらと合わせますと……」  私が事前に準備しておいた計算式を電卓に打ち込んでいると、それを遮るように中田さんが問いかけてきた。 「あの…………ここに ソフィアさんって、いますか? 」  電卓を打つ私の手が、止まった。
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