1705人が本棚に入れています
本棚に追加
「え……? 」
私の答えが意外だったのか、中田さんが私の顔をマジマジと見つめる。
そこに以前の私の面影を見たのか、中田さんの声は閃いたような明るいものへと切り替わった。
「ああ! 君! 前に、会ったこと、あったよね? 」
直前まで迷ったが、私は正直に答えた。
「ええ……大分前に……。お久しぶりですっ。」
私は辿々しく答えながら会釈した。
「じゃあ、君指名で! 」
再び心臓が跳ねた。
何故だ?
ソラリス時代一度も指名したことがなかったのに、何故今更……?
何だ? 何が狙いだ? 何を企んでいる?
頭に浮かぶ数々の疑問符と、得体の知れない恐怖。
指名料がかかることを説明し、計算し直し、会計を済ませている間も、頭は考えうる可能性を検索していた。
最初のコメントを投稿しよう!