得体の知れない恐怖

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 何一つ謎が解けないまま中田さんの案内を終えた私は、どう対応するか悩んでいた。  もし、施術後に私のことをネットに書かれたらどうしよう…… これが一番怖かった。  善良なお客様はそう言った掲示板を殆どチェックしていないだろう。 だが…… もし、善良じゃないお客様がその書き込みを見て、ニサンに来て、ソラリスのような鼠径部(そけいぶ)の施術を求めてきたらどうしよう…… やっと平和に楽しく仕事してるのに、それをぶち壊されたら……  今の平和を守ろうと必死に頭を悩ませた結果、私が思い付いたのは、会話の中で然り気無く 『実は私もネットチェックしてるんですよ~!』 と伝え、遠回しに 『何か書いたら貴方だってすぐに解ります』 と、釘を刺す作戦だった。  中田さんの着替えの間と言う短時間で、これ以外にいい作戦は思い付かなかった。  私は腹を括り、中田さんのいる部屋をノックした。
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