得体の知れない恐怖

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 良子さんとは、ソラリス時代に私が最もお世話になり、尊敬していた先輩だ。  男性経験どころかキスすらしたことのない私が、男性客メインのソラリスに入社したのも、この人と一緒に仕事がしたいと思ったからだ。  この人がいなければ私は数ヵ月でソラリスを辞めていたかもしれない。 当然、今の技術も職も得てはいなかっただろう。  私のような指名を取れないセラピストに、自分の指名客を回してくれたり 私のバカで初歩的な質問に、嫌な顔一つせず答えてくれたり…… セラピストとしても、人間としても私に多大なる影響を与えた恩人だ。  その良子さんの名前がまさか中田さんの口から出るなんて……
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