得体の知れない恐怖

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 セラピスト同士が仲良くなり過ぎることを怖れた店長は、セラピスト同士の連絡先交換禁止令を設けていたらしい。 私も直接言われてはいないが、この暗黙のルール察して連絡先を聞けなかった。  その為、良子さんが店長と揉めて退職した後も連絡する術がなく、良子さんがどこにいるか皆目見当すらつかなかったのだ。 「どうして、良子さんのお店を見つけたんですか? 」  私も勉強の為にあらゆるアロマ店を廻ったが、掠りもしなかったと言うのに。 「良子さんが辞めて暫く経った頃にね、良子さんからメールが来たんだ。 “お店をオープンしましたのでよかったら来てください。” ってね。」 そうか…… そう言うことだったのか…… こんがらがった糸が解けるのに比例して、先程の恐怖が喜びに変換されていった。
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