底知れぬ怒り

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「そうだ! 今ソラリス、ラジエルって店に変わったでしょっ? あそこに田丸っているのっ? 」 「はいっ。 ホームページにも写真載ってましたし。」 「やっぱアレ、田丸だったんだ……」  暗く沈んだ良子さんの声が、中田さんの言っていた彼女の近況を如実に物語っていた。 「実はさ、田丸が店長にうちの情報を漏らしてるかもしれないんだ。以前うちに来た時、田丸、店長のこと悪く言わなかったから怪しいと思ってんだけど……アイツ、店長とは普段殆ど話さないって言ってたし……」 「えっ? 恋人のように仲良く話してましたよ? 」 「…………はっ? 」  良子さんの暗かった声色に、赤黒い炎が灯った。 「……私がアイツを信じて話したこと、即行でネットに書かれたりしたんだ……。それでも私はアイツを信じてたのにッ……!」 ワナワナと震える良子さんを宥めようとした私は、結果、火に油を注ぐこととなる。 「私も……似たようなことされましたよ? 私のしたことを逐一店長に報告されて……だから……」 「……ッんっだよ……!」 「えっ?」
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