底知れぬ怒り

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 私が電話を取ると、良子さんの裏返ったような声が聞こえた。 『もしもしっ?! ソフィアさんっ?! ソフィアさんっ?! ソフィアさんっ?! 』 その焦燥しきった口調はいとも簡単に私を混乱へと誘った。 「なっ、なんですかっ?! 」 『ソフィアさんっ?! ソフィアさんっ?! ソフィアさんっ?! 』  私の問い掛けが聞こえなかったかのように、良子さんのDJスクラッチは止まらない。 どうやって良子さんを落ち着かせよう…… 「良子さんっ?! 良子さんっ?! 良子さんっ?! 」 『ソフィアさんっ?! ソフィアさんっ?! ソフィアさんっ?! 』 互いの名を呼び合うスクラッチの応酬は暫く続いた。
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