底知れぬ怒り

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 懇切丁寧な説明のお陰で、私は無事予約時間前に指定のパーキングに停めることが出来た。  良子さんのお店は住宅街の中に溶け込んだ小さなアパートの一室であった。  スタッフの方から事前に教わったナンバーの部屋前まで来ると、私はチャイムを押した。  先程電話越しに聞いた声がドア越しに聞こえ、すぐにドアが開いた。  出迎えてくれたのは色黒で明るい茶髪の女性だった。 良子さんとどこか似ているが、細い切れ長の目が顔の印象を彼女とは異なるものにしていた。  スタッフの人――ここでは分かりやすいように好美さんと呼ぼう――の案内で、リラクゼーション店ではお馴染みのカウンセリングシートを記入する。  この時の私はまだ知らなかった。 この後に衝撃的な事実が待ち構えているなんて……
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