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――――そこには……
私の記憶と違(たが)わない良子さんがいた。
「良子さぁあああんッ! 」
年甲斐もなく私は、その場で何度も跳び跳ねてしまった。
「良子さん良子さん良子ざぁあああんッ! あぁぁああもう二度と会えないと思ってましたぁあッ! 」
「私もですよぉッ! ソフィアさん、相変わらずみたいですねっ。 」
良子さんは髪をエステティックに纏め上げ、ピッタリとした黒の上下、腰には赤いスカーフのようなものを巻いていた。
パンツスタイルなのがまた、技術で勝負してる証拠に見えた。
「あ! ……良子さんが辞めた時、あんな形だったからまともに挨拶できなかったので、改めてお礼を言わせてください! 今まで本当にありがとうございました! 」
私は上半身を九十度曲げてお辞儀した後、良子さんに持ってきた日本酒を渡した。
「えっ?! もしかしてこれ、日本酒っ?! どうしよう嬉しいっ……!! 」
和風の包装紙に包まれた長方形を受け取り、形状と重さから中身を理解したのか、良子さんは心底嬉しそうに驚いていた。
ソラリス時代、良子さんに毎回プレゼントを持ってきていたお客様達の気持ちが、解ったような気がした。
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