それぞれが背負ったもの

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 良子さんが掴んだ新規のお客様に、アゲハさんがあんなことやこんなことした為、良子さんは店長に抗議した。  アゲハさんの不正に、良子さんは前々から勘付いていたと言う。  だが店長がそれを黙認していると思い、それまで何も言わずにきたらしい。  しかし今回のケースは、アゲハさんの毒牙にかかったお客様が、良子さんにまでそう言ったサービスを求めだす。 流石にそれは困ると言うことで、良子さんは店長に抗議したと。  一方店長はそれを『客の出任せだ。』と否定。 論点を合わせない奴の得意技だ。 しまいには『じゃあ監視カメラつけろってのかっ?! 』と逆ギレ。  向こうが先に怒鳴った為、釣られて良子さんもヒートアップしてしまったと言うわけだ。 「まあ、私も今経営する立場だから、ああ言うことを認めたくないって気持ちはわかるよ? でもね、それじゃ他の子の迷惑になる。」  確かに、店長は敢えてアゲハさんを放置していたのかもしれない。 一度はスパイを使ってアゲハさんをクビにしたにも関わらず、同じ手を使わなかったのは、経営が苦しかったからなのではないだろうか? 退職が決まっていた良子さんより、もう暫くは利益をもたらしてくれるアゲハさんを取ったのだろう。 ――それが仇となるとも知らずに。
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