それぞれが背負ったもの

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 その頃は店長との関係も悪くはなく、それなりに楽しく飲めたようだ。  夜が更け、宴も御開きとなり良子さんが別れの挨拶をして帰ろうとした時だった。 『なんだ? もう帰るのか? 』 店長が引き止めてきたのは。 「“もう帰るのか? ”って言うけど、あの時、夜の二時だったんだよ? 私、旦那も子供もいるし、帰るに決まってんじゃん? 」  呆れと怒りが混じった声で、良子さんは当時を掘り起こす。 『え? そりゃ帰りますよっ! 』  良子さんがやんわりと帰ると意思表示すると、店長はさも当然のようにこう答えた。 『…………うち、寄ってけや……? 』
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