それぞれが背負ったもの

40/45
前へ
/395ページ
次へ
 私は考えた。  憧れだった良子さんとまた仕事が出来るなんて、願ってもないことだった。  私がソラリスで働くと決めたのも、店長のイビりに堪えたのも、良子さんの存在ありきだったのだから。  沈黙になるのが何となく気まずくて、私は低く唸ることで場の空気を和らげようとした。  実際は野良犬の威嚇のような声が、店内に流れる癒しの音楽を掻き消しただけだったが。  私が、ああでもないこうでもないと考えていると、良子さんから意外な台詞が飛び出した。
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1704人が本棚に入れています
本棚に追加